はる

ありふれた教室のはるのネタバレレビュー・内容・結末

ありふれた教室(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて。

正しさに、年齢も立場も関係ない。
教師にも親にも子供にも、自分の正しさがあり、それらは全て正しいとも正しくないとも言えてしまう。
担任教師と生徒の親との間で起こった問題は、職員室を超えて、1人の生徒に、全校生徒に広がっていく。教育現場は特殊な場所だ。子供達を本来守るべき立場にありながら、その子供達を脅かしているのは、結局のところ大人なのではないだろうか。子供の言い分や主張は全て反抗とみなされ、言論の自由を奪っているように感じる。大人の都合で、明らかに不必要な出来事に巻き込まれている子供がいること自体、許されるべきことではないと私は思う。

この映画で、肝心の問題の原因である出来事の真実は、誰ひとり知らない。にも関わらず、問題はありとあらゆる憶測によって対処されていく。そして結局、真実は分からない。疑いをかけられたお母さん兼事務員ですら、徹底的な証拠は何一つない。あの特徴的なシャツの柄が見えたところで、盗んだところは映っていない。誰かが同じシャツを着ていたことが0%だという確証もない。そして何より、多発していた窃盗事件の犯人が1人なのか、多数なのか、それすら明らかになっていない。(試写会のトークショーによると、監督はあのお母さんのことを無実だとインタビューで答えているらしい)

私たちは目に見えるものだけから、物事の全てを把握した気になっている。間違いなく、そういう事実がこの世には存在している。そう言った物事に対してどう対処するのかが重要だ。これは学校という社会の縮図を利用して、この社会全体に関わる問題提起がなされている作品だった。人種の多様性についても描かれていたが、私が1番強く感じたのは、個人の持つ"正しさ"は他人と一致しないという人間の特質について。難しい。ゆっくり自分の中で考えていきたい。教育の在り方にも疑問が残る。何が正しい教育なのだろうか。
はる

はる