「学校で盗難事件が起き、正義感あふれる新任教師は犯人として疑われた生徒のためにある行動をとる。ところが、それが予期せぬ波紋となり事態は急速に悪化していく…」という物語。面白かった。紛れもなく「現代社会の縮図」としての学校を描きながら、同時に現実から少しも逸脱することなく、一級のサスペンススリラーに仕上げている脚本が見事。教師、生徒を演じた役者たちの自然な演技と監督の演出の力量にも感服した。
以下ネタバレです。
事務員の女性はやったのか、やっていないのか。やっていないなら何故カメラに映り込んだのか。そのあたりがモヤモヤするものの、最後まで飽きることなく鑑賞できた。そして王様の凱旋のような美しいエンディング。ドイツ社会の徹底したディベート文化の功罪をこれでもかと観せられたようで苦しくなった。人間の集団心理や自立の進んだ子どもたちの怖さを、日本との違いも感じながら、深く考えさせられる作品だった。
