まめだいふく

ありふれた教室のまめだいふくのレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
3.0
 「これが この学校の日常なのね」

 学園内で起きた盗難事件と、それに対する教師たちの対応がきっかけで始まる学級崩壊を描く衝撃作。

 良かれと思ってやったことが、取り返しのつかない事態を招き、立て直そうとするも、更に火に油を注ぐ結果になり、やることなすこと裏目裏目に出るという、底なし沼にズブズブ沈んでいくような感覚を味わえる(味わいたくないが)。
 本作は、窃盗犯は誰なのかを推理するようなサスペンスものではなく、学校内でこう言った事件が起きたらどういった対応をすればいいのかを学ぶための ‶教材” である。

 教師と生徒と保護者という三者三様の関係は本当に絶妙なバランスの ‶信頼” というものの上でかろうじて平穏を保っており、一度崩れるともう歯止めが利かず、あとは落ちるのみということをいやでも思い知らされる。
 序盤の授業シーンで1と0.999……は同じか否か? という問題を生徒が解いていたけれど、100%と99%でも同じことが言えそう。もしカーラが、あの証拠をもってしても100%の確信ではなく、99%の疑惑であったならば、わずか1%の「違うかもしれない」という思いを落ち着いて考慮しておけば、もっと違った結果になったんじゃないかな。少なくとも、ここまでの大ごとにはならなかったのではと思う。

 ラスト、あのまま担いでいくしかないのか……なんかお神輿みたい。
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