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田園詩の河のレビュー・感想・評価

田園詩(1976年製作の映画)
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近代的な時間から、ジョージアの農村の殆どユートピアのような時間へと移り、また元の生活に戻る。演奏家達は既にその農村の外に暮らしていて、一時的な滞在によって農村に暮らす人々と共に音楽が奏でられるようになる。彼らは去ることが決められていて、その農村には新しい家が建てられていく。イオセリアーニの初期作品において、新しく建てられた家はソ連の占領下での生活の作り替えを象徴する。この映画で作り出された農村で流れる時間はこの先失われていく。カメラを睨むような農村の人々のショットで終わる。

上映後にはらだたけひげさんのトークショーがあり、ジョージアの人にとってワインが非常に特別な意味を持っているという話があった。冒頭、演奏家の一人が飲みかけのワインを道端に捨て、農村の一人がそれを大切そうに拾い上げるのは、演奏家達が既に外部者となってしまっているということなんだろうかと思った。また、この映画内の時間感覚はジョージアでの特異な時間感覚そのままだと言う話もあった。
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