Asino

ダンテのAsinoのレビュー・感想・評価

ダンテ(2022年製作の映画)
3.8
東京国際映画祭 5本目め「ダンテ」

フィレンツェから追放されて客死したダンテの名誉回復が、死後何年もたってからようやくかない、ダンテの最初の研究者とも言えるボッカチオが、唯一の血縁者である娘に賠償金を支払う任を得て、旅をする話。

ボッカチオの、ダンテの足跡を辿るような旅のあいまに、ダンテの少年時代からの生い立ちが語られ、有名なベアトリーチェが登場し、執政官になるもののフィレンツェの権力争いに負けて追放され、放浪するさまが描かれる。
ボッカチオがなんというかものすごいダンテのファンで、ようやく娘に会えたときには「あの方のご息女にお目にかかれた!」と涙ぐみさえするのだけれど、要するに監督がダンテがすごい好きなんだな。というのが上映後のQ&Aでもよくわかりました。

ダンテやボッカチオがなにした人かはもちろん、なぜ彼がフィレンツェを追放されたのかについても「当然ご存じですね?」という感じで詳しい説明がないので、予備知識なしで見ると完全においていかれかねない内容なのだけれども、なんというかボッカチオ(=監督)のダンテ大好きオタクっぷりはひしひしと伝わってくるし、14世紀前半の風俗を恐らく時代考証という意味ではかなり完璧に映像化しているのを見るのはすごい珍しい体験だと思うので、私はとても楽しかった。(寝てる人はいっぱいいた)

グェルフィ党(教皇派)とギベリーニ党(皇帝派)とか、白党黒党とか、あー大昔イタリア史でやったやつ...ってすごい遠い目になってた。(あまりにも遠い記憶過ぎてwikiで確認しました(笑))
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