sayayume

オールド・フォックス 11歳の選択のsayayumeのレビュー・感想・評価

3.9
東京国際映画祭にて

90年代の台北。父が店を持つ日を夢見て親子は節約生活。
愛情深く人を慮る堅実な父と健気に暮らす小学生の息子だったが、願いはなかなか叶いそうにない。思い詰める息子に「老狐狸」が手招きする。

ままならぬ世の苦しさ悔しさが一代で成り上がった謎の老狐狸との交流で世界が開けていく、なことはない。
が、多くを語らない各々の幾つかの場面にふと胸を掴まれ、勝者敗者の明暗では説明つかない人の真剣さ、忍耐、温もりが迫る。

最後に出てくるあの丘はひょっとしてあの場所?と想像したり

ノスタルジックな映像とリアルなキャストの演技で見せる。父と子の暮らしの愛おしさ、老狐狸の深く刻まれた表情。
それからこの作品の門脇麦さん、なかなかいいと思う。
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