ハル

オールド・フォックス 11歳の選択のハルのレビュー・感想・評価

3.5
東京国際映画祭2023にて。
出演者は門脇麦しか知らない&思いつきでチケットを取ってしまった台湾作品。
なので、内容は何もわからぬ状態。

とりあえず見ていくと、親子二人が亡くなった奥さんの夢であった“理容店”を開くために頑張るお話だった。
父一人、子一人互いを信じて日々を大切に過ごしていく。
節約、倹約、節約、倹約。
お風呂も身体を洗ったら「ガスを止めていいよ!」と伝える徹底ぶり。
でも、不思議と二人は幸せそうなんだ。
「二人で頑張って店を持とう!」そんな親子の会話がそのままスクリーンに絵として映し出されていく。

しかし…時代設定は1989年。
激動の台湾ということで、株や不動産の話が次々に出てくる。
持つものと持たざるものの貧富の差…シビアだね。
監督の言葉で印象的だったのは「不公平、不平等を描きたかった!!」というもの。それがリアルだからこそ、現実を直視させられる。
厳しい描写が随所に織り込まれ、“お金を稼ぐ”事がどれほど困難であり、地道に道む人ほど甘い誘惑に揺れてしまうわけで…胸が痛くなった。

また、日本人として注目なのはやはり門脇麦。
彼女は元々台湾映画に出演したかったという思いの末に出演を果たしており、語学の勉強を重ね見事に役をこなしている。
現地の役者がそのまま出演しているかのようなナチュラルな佇まいは素晴らしいの一言。
様々な役柄にチャレンジしてきた経歴があるからこその幅の広さと引き出しの多さ。
ドラマや映画、舞台までこなす芸達者である役者としての強みでしっかりと爪痕を残していた。

トータル的に楽しめたのか?というと回りくどい表現があったり、臨場感に欠けていて、疑問符がついてしまう作品。
けれど、そもそもボクの鑑賞動機がなぜ門脇麦が出てるんだろ?だし、時代背景に疎かったり台湾の歴史に対しても造詣が浅いため、台湾に精通している方ならハマれるのかもしれない。
ハル

ハル