シンタロー

愛と宿命の泉 PART I /フロレット家のジャンのシンタローのレビュー・感想・評価

4.0
フランス、プロヴァンス地方。兵役を終えたウゴランは、伯父セザールの住む地元に戻ってきた。セザールは財力のあるスベラン家の主で、周囲から"パペ"と呼ばれ、一目置かれていたが、ある事情から独身を貫いていた。その為、跡継ぎであるウゴランの夢であるカーネーション栽培を誰よりも応援していたが、問題は大量の水が必要なことであった。目的のためなら手段を選ばないセザールは…。
フランス映画の底力を感じさせる壮大な文芸大河ドラマ。さらにイヴ・モンタン、ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデューという、一線級の豪華キャスト。これでおもしろくないわけありません。前篇である「フロレット家のジャン」は、泉の出る土地を相続したセムシ、いわゆるクル病を持病に持つジャンの壮絶に不幸な境遇をコレでもかと描いていて、流石に胸糞悪い。まるでドロドロな昼メロを観せられているような感覚ながら、無駄のない演出、テンポの良い展開、役者陣の力演、素晴らしいロケーションが重なり合って、難解な作品の多いフランス映画にしては非常に観やすく、目が離せない作品に仕上がっています。
フランス映画界を代表する名優であり、シャンソン歌手としても活躍したイヴ・モンタンですが、個人的にはあまり好みではなかったので…。ただ、晩年の代表作となった本作では、最高にムカつく卑劣なキャラを好演しております。ダニエル・オートゥイユは当たり役の「ザ・カンニング」から、コミカルなイメージのまだ駆け出しという時期でしたが、本作の力演で見事に脱皮。特に後篇のお芝居は凄いです。前篇の主役ともいえるジャンを演じたジェラール・ドパルデュー。作品によってはイケメン?役を演じているのは流石に疑問。おまけにイザベル・アジャーニやナスターシャ・キンスキー等々、ドストライクな女優陣と共演しまくっていた羨ましい?お方です。今回はとんでもなく虐げられ、悲惨な結末を迎える大熱演で、見どころ満載です。
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