HiromiA

一月の声に歓びを刻めのHiromiAのレビュー・感想・評価

一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)
3.4
三島監督は脚本を兼ねていない作品の方がなんかうまく演出できている気がした。自らの脚本に対する思い入れが演出に隙を感じさせている気がした。また脚本も原作がないためかちょっと不可解な展開となっていた。マキが次女の事件を苦にして男を捨てるというのはいったいどういうわけなんだろう。男性というものの存在を否定するのでしょうか。そこまで思いつめているのに長女の相手である見ず知らずの男性は受け入れることが出来たのでしょうか。その辺の父親の心理が全然見えてこなかった。また八丈島のエピソードはいったい何だったんだろう。幼い娘が性被害に合うという洞爺湖と堂島のエピソードからずいぶんかけ離れていて、父親と娘という関係を描きたかったんだろうか。全体的に暗い画面を明るくするだけのエピソードだったんだろうか。そしてメインとなるのは白黒で描かれた堂島パートだと思うのですが、れいこが異様に饒舌な気がした。セリフやモノローグで心情を伝えるのは、背景描写に制限のある演劇ならいざ知らず、映像で語れる映画ではうるさすぎる気がした。全体としてみれば被害者あるいはその家族それぞれの悲哀がしっかりと描かれていて面白かったのですが、なんかバランスが悪かった気がしました。
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