このレビューはネタバレを含みます
まず何より、藤井監督の作品は映像美に圧倒される。
最初は、ジミーがどんな思いで自分の作った会社から離れ、どんな思いを抱えて日本を旅しているのか分からないままだったが、18年前、台南のカラオケ店で出会ったジミーとアミははっきりとは言葉にしないけれども惹かれあい、出会ってから毎日に彩りが溢れていく。毎日が今までとは違い、2人はこの幸せがずっと続けばいいのにと思ったと思う。
私も、言葉が違う知らない土地に引越し、1人でいた時に同じバイト先で出会い、私を楽しいことで溢れさせてくれた人と出会って今を過ごしているので、後半描かれるアミの気持ちが痛いほど分かった。ジミーの存在は、本当に大きい。どれだけ救われることか、どれだけ幸せなことかこの気持ちは、彼らには分からないと思う。
「ジミー、会いたいよ」
の一言で涙腺が崩壊した。叶いはしないが、これからもずっと、ここで一緒にいたいと願ってしまうアミの気持ちが痛く伝わって、切なかった。
別れた後にジミーがアミの死を受け入れられずに生きていき、自分をまた取り戻す度の過程にも、日本の様々な優しい人の繋がりで溢れていて、本当に心が温まった。
エンディングでは、ミスチルの「記憶の旅人」が流れてきて、物語にも相まって刺さりすぎて涙が止まらなかった。
自分にとって心の中に特別な存在がいること、それがどれだけ大きなことか改めて感じた。
本当に考えさせられるいい作品だった。
