このレビューはネタバレを含みます
良いロードムービーだしドバドバ泣いた。
ロードムービーの王道のような展開をしつつ実は新鮮な構成をしてるなと思った。
そしてまさかの難病モノ、世間の当たりは強い気もするし個人的にもそのジャンルに対しては思うところもあるのだけど
それでも演出しっかりすれば本当に泣かされちゃうんだよなと。
清原果耶さんのキャラとか18年前の恋を引きずってる危うさとか妙に岩井俊二を想起してたら思いっきり引用されててたまげた…
でも『Love Letter』は観てなかったのでグヌヌ…どうでも良いけど岩井俊二さん好きなら道中のネカフェの店員さんはどう見えてたんだろうね？？それはまあ良いとして
さて内容として
ジミーが会社を失い旅に出るところから始まり、道中で様々な人に出会い、自分を見つめ直す。
景色が移り変わりつつ、話し相手を変えながら過去を少しずつ描くので、ロードムービーのお手本のような感覚で楽しめる。
まさに劇中のセリフように、長い旅の一休みをしながら、自己を振り返り取り戻していく構成なのだ。
ただこの構成、妙なことをしてると思うのが、その真意が伝わるのが少しずつ後なこと。
トンネルを抜けると雪景色…なシーンは音声の演出も相まって思わず息をのむほど素晴らしい。だがジミーがそれを見てどう感動したかが分かるのは少し後だ。
何故旅という選択に至ったか、そもそも会社で何に揉めたのかも明確になるまで時間がかかるし、
そもそもアミが亡くなっていることだって観客には最後まで明かされていないので、実は主人公ジミーには本当の意味で感情移入ができていない構成になってるのだ。
ストーリーテリングとしてはかなり危ないことをしているが
個人的にこれは「旅の物語」だから成り立つと感じた。
劇中の言葉を借りるなら、行く宛の分からない旅は自分自身を見直すのに最適だ。
なのでこの作品は、あくまで観客はジミーの同行者で、彼と同じもの見て、話を聞きつつ、観客自身の人生を見つめ直す作りになっていたように思う。
少々気になる箇所はありつつ、ふと何かを思い出すような旅を体験しつつ
切ない物語に涙できる作品だった。
