【想いでも含めて】
楽曲を提供しているミスチルの桜井さんが、良い映画に関わらせてもらったと言っていて、少しリップサービスもあるんじゃないかと考えながら観たのだけれども、自分自身の想いでもあってか、かなり心に染みる作品だった。
それに僕もバックパッカーをしていたことがある。
僕は東北の山間部の街出身で、アミの生まれ育った只見とほとんど同じ風景の中で育った。
アミが台湾の皆の前で開いたスケッチブックの絵を見た時に、ジブリで長い間、風景作画を担当してらっしゃった男鹿さんを思い出した。
確か秋田出身で画集も出されていたはずだ。
冬の風景はモノトーンだ。
そして、雪が溶け、花が咲き、新緑が芽吹き、夏には濃い緑が野や山を覆い、秋には田んぼが黄金色に輝き、山は色づき、そして葉を落とし、再びモノトーンの風景になるのだ。
そんなサイクルの中で生きてきたのだ。
こんな冬があるからこそ色彩をより美しく感じるのだ。
それで、アミのスケッチブックの濃淡のある緑を見た時に、ジブリの男鹿さんの緑と似てるなと感じたのだ。
この作品については、僕の想いでも含めたスコアだ。
(以下ネタバレ)
僕にはガンで亡くなった友人がいる。
僕が仕事でもプライベートでも行き詰まっていた時に、具合が悪くて、本当は辛かったはずなのに、いろいろ助言をくれたり励ましてももらった。
本当に苦しかった僕に、「大切なのは今だよ。私は先のことはあまり考えないようにしてるんだ」と。
絞り出した彼女の言葉は日々を大切に生きていた本心から出た言葉だったんだと思う。
今でもこの言葉をよく思い出す。
旅は良い。
アナログで、目で見て感じたものは心に焼きつく。
写真とは異なる光景が色褪せず、ずっと記憶に残っているのだ。
若い人には是非バックパッカーにチャレンジして欲しい。
コスパもタイパも悪いが記憶を豊かなものにしてくれる。
日本の企業も学生に少し猶予を与えて、就活をもっと別のタイミングにして、旅の機会をあげたら良いのにと考えたりする。
回り道は人生を豊かにしてくれるように思えるのだ。
結末は悲しいけど、実は困難を乗り越えて、仮に回り道をしたとしても若者はやっていけるはずだというメッセージも感じられるなんか良い映画だった。
ところで「花束みたいな恋をした」的には、イヤフォンを分けて聴くのはアウトだよね😁