ゆう

青春18×2 君へと続く道のゆうのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
3.9
ありがちな恋愛映画だろうと舐めていたが、良い意味で裏切られた。
プロット自体は、よくみられる恋愛モノである(特に邦画で)。主人公・アミの背景が意図的に隠されているように感じたので、たぶん訳アリなんだろうな・・・と思っていたら、やっぱりそういう展開になるのね・・・という印象ではある。
ただ、ストーリ展開が絶妙で、スパイスの効いた恋愛映画に仕上がっている。

特筆すべきは、もう一人の主人公・ジミーによる日本での「青春を終わらせる旅」である。
個人的にロードムービーに弱いのだが、スラムダンクの鎌倉、LoveLetter(のような雪景色)の長野、ランタン祭の新潟、アミの故郷の福島をめぐる旅が丁寧につづられる。さらっと描かれる旅先での一期一会も美しい。

こちらも個人的な意見だが、自分探しの旅という言い方が嫌いである。じゃあそこにあなたは存在しないの?と問いたくなる。
この映画では、その代替として、自分を確かめる旅、という表現が登場する。
アミは台湾にて、ジミーは日本にて、自己を肯定し、前に進むための原動力を得た。

少女漫画のように美しすぎるきらいもあり、もう少し深みがあってもよかった気もするが、台湾でのあまりにもプラトニックな恋愛も微笑ましく、カップルにもおすすめの良作である。
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