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青春18×2 君へと続く道のsayayumeのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.0
日台共同制作作品
最近台湾を旅した折に市中で宣伝を見かけて気になっていた
清原果耶さんは好きな俳優のひとり
予告編(日本)を観て、これは「泣ける映画」なのではという不安が拭えなかったが、
台湾台南の街並みに心惹かれ鑑賞

結論からいうと、決して泣かせる泣ける泣けた!がメインではなかった
涙のシーンは数あるが、それは切なさ辛さよりも、彼と彼女が流されず前を向く決心と互いへの感謝の涙のように感じられた
18歳の彼に訪れた国、言語を越えた初恋の日々、やがて迎えた別れから18年
日本に来た彼に彼女は何を伝えるだろうか

主人公ジミーの目線で二冊の本を交互にランダムにめくるように台南、日本の場面が進む。記憶の甘酸っぱさが程よい
ある程度予想どおりと思って観ていたところ、終盤、伝えられる事実が物語を青春物から大人の旅とリスタートにうまく変えていった
脚本も考えられていて、同じ言葉が時、場所を違えて複数の人物により使われるなど、導かれる旅を表しているようだ

許光漢はこの物語を背負い、抑えた演技で一人の男性の10〜30代の光と影を。トンネルを抜けた瞬間の表情がすばらしい。
清原果耶は媚のないナチュラルな美しさと覚悟を秘めた芯の強さを。彼女の資質もお涙頂戴を斥けている
黒木華の絶妙な距離感、リズム感もいい

台南の陽光豊かな風景、日本(信州、東北)のしんと落ち着いた雪深い風景、その対比。その土地なりの人の温かさ。

よい旅をした気持ちになる終映後。
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