ゆみな

青春18×2 君へと続く道のゆみなのネタバレレビュー・内容・結末

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます


18歳の頃のキラキラ輝く初恋は、果たせなかった約束を置き去りに永遠となり、それを青春と呼ぶんだと大人になって痛いほど思い知る。あの時こうしていたら…と思い返す後悔は、生きていれば誰しも抱える荷物のようなもので、その時正しい選択をしたとしても、きっと別の後悔を抱えていくのが人生なのかもしれない。

旅を終えたジミーの傍に確かにアミを感じることができたし、やっと彼の心があの2人で飛ばしたランタンのように浮上したように思えた。青春にさよならを告げて、彼はきっとここからまた前に進むことができるんだろう。ラストの彼の表情を見て、そう確信した。

ジミーが旅の途中で出会う幸次(道枝駿佑)がとてつもなく可愛かった!彼は底抜けに明るく人懐っこい、一見何も考えてなさそうな青年に見えるけど、きっと彼の中にも彼にしかわからないような悩みもあるんだろう。それを感じとれたのは心のシャッターを押したトンネルを抜けた後の、白い世界に包まれるあのシーン。ジミーがアミと観た映画の中の世界にトリップした瞬間、何も知らない幸次の表情が変わる。ジミーの変化をいち早く察知して下車しようと提案する場面は、彼の中にある優しさや繊細さが滲み出ていたような気がする。ジミーの前を走る幸次の無邪気さが、雪を前に走り出す大型けみたいで!2人で雪に寝転んでいる瞬間はまるで絵画。

道枝くんが色んな雑誌のインタビュー記事で、台詞の言い方にこだわった事が書かれていて、そこももちろん物凄く良かったんだけれど、彼の表情だけで何かを伝えてくれるような演技がとても好きなので、それを観れたことが嬉しかった。今作ではそこまで出演シーンがないのはわかっていたので、まさかそういうシーンを観れるとは思っていなかったし、めちゃくちゃ好きなシーンになりました。やっぱり、道枝くんの演技がとても好きだなあ。

清原果耶ちゃんが涙すると、自分まで同じように涙してしまう。そういえば山田孝之さんがオーディションで彼女の演技を観て泣いてしまった…って言ってたのを思い出した。確か『デイアンドナイト』の時かな?映画の中で泣いているはずなのに、近くで彼女の息遣いまで感じられるような気がしてシンクロして泣いてしまう。凄い役者さんだなぁ…って改めて思った。

アミがランタンに書いた『ずっと旅が続きますように』って願い事をなぞる様にジミーがランタンに書いた『僕たちの旅が続きますように』って願い事は、アミの命が尽きていることを知ってるが故になんだかとても切なさが残る。アミの故郷にたどり着いた時…旅が終わった時に、それが現実味を帯びてくるのが怖かったのかも。それでも、生きていくには向き合わなければいけない日がやってくるんだね。

この物語の登場人物はみんな優しい。その優しさに触れているから、離れがたくて切なくなるんだ。一瞬で過ぎ去る青春の儚さを、忘れたくない煌めきを、何度も何度も観返したい。

劇伴も物凄く良いし、エンドロールのMr.Children『記憶の旅人』は字幕の歌詞を噛み締めつつ聴くと更に沁みる。若い世代から大人まで、すべての人の心に残る素敵な映画。大好きな1本になりました。
ゆみな

ゆみな