ノラネコの呑んで観るシネマ

青春18×2 君へと続く道のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.8
いやー、これはイイ!
久しぶりに、ロードムービーらしいロードムービーを観た。
大きな挫折を味わった台湾の実業家のジミーが、18年前の高三の時に、台南のカラオケ店のバイトとして一夏を共に過ごした初恋の人、日本人のアミの故郷を訪ねる旅に出る。
東京から鎌倉、松本、長岡、そして福島の只見へ 。
一期一会を繰り返すジミーの旅と、18年前の出来事が並行に描かれ、ジミーとアミの人生の旅路を描き出す。
ミスチルやスラダンと言った、日台共通の世代のキーワードが、観客のノスタルジーをくすぐる。
特に重要なのが岩井俊二監督の「Love Letter」で、これは言わば藤井道人から大先輩へのアンサームービーでもある。
本作の後では、「Love Letter」をたまらなく観たくなる。
文化的には近いながら、外国人の目で見る少しだけ視点の違う日本の情景も新鮮で、「ああ日本てこんな風にも見えるんだ」と思わせてくれる。
ジミーを演じる許光漢とアミ役の清原果耶はもちろん素晴らしいのだが、一期一会の脇の登場人物がやたらと豪華で、さりげなく満足度を高めている。
ここにあるのは、人生の旅路を進むための過去。
極めて普遍的な物語で、誰もが共感出来るであろう傑作だ。
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