2024年167本目
日本×台湾合作
一向に休む気配のない藤井道人監督最新作
ジミー・ライの紀行エッセイ『青春18×2 日本漫車流浪記』を映画化し、国境と時を超えた淡い初恋の記憶を描く。
18年前の台湾。高校3年生のジミーはアルバイト先で4歳上の日本人バックパッカーのアミと出会い、天真爛漫でどこかミステリアスな彼女に恋心を抱く。アミもまた、ある秘密を抱えながらもジミーにひかれていく。しかし、突然アミの帰国が決まり、意気消沈するジミーにアミはある約束を提案する。
台湾の人気俳優・シュー・グァンハン＆清原果耶がW主演。共演に、『真夜中の五分前』のジョセフ・チャン、『今夜、世界からこの恋が消えても』の道枝駿佑、『浅田家!』の黒木華、『罪の声』の松重豊、『20世紀少年』シリーズの黒木瞳など。
台湾で話題を呼んだ原作エッセイにインスパイアされた、『ブエノスアイレス』などで知られる国際派俳優・チャン・チェンが映画化を企画。台湾にルーツを持つという藤井監督が熱望していた台湾での映画制作を実現させた。
本作は、自ら立ち上げた会社の経営から締め出されてしまったジミーが「自分を確かめる旅」に出る現代パートと、アミとジミーの出会いから別れまでを綴る18年前の回想パートの2つの時系列が並行して描かれる。日本と台湾の四季折々と移り行く美しい風景や、国内外で高い人気を博す岩井俊二監督の『Love Letter』へのオマージュなど、エモーショナルでノスタルジックな世界観が魅力的な1作。
アミとのとある約束を果たせなかったことで仕事に没頭していたジミーが、立場を追われたことを機に改めて自分の過去と向き合う。初恋の相手がたどってきた道を遡っていくジミーの旅路とその途中で出会う人々の温かさに浸っていると、理由もなく一人旅をしてみたくなった。ジミーのコミュ力と人当たりの良さ見習いたい。
回想パートの「初恋の思い出」は胸キュンの連続。年下男子を手玉にとるアミはとにかくかわいいし、彼女の一挙手一投足に一喜一憂するジミーの不器用さといったら微笑ましいにも程がある。
やっと手を繋げたのに離れていくアミ。当時彼女が抱いていた気持ちを18年後に知るジミーの涙に心揺さぶられ、最後まで想いを告げらなかった後悔とやるせなさがひしひしと伝わってきた。
エンドロールで流れる主題歌は、劇中にもセリフで登場するMr.Childrenの“記憶の旅人”。本作にぴったりの素晴らしい曲。歌詞付きで流してくれてありがとう。
