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青春18×2 君へと続く道のプライのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.3
硬派でシンプルな物語と世界観。透き通るほど美しい画づくり。そして、俳優陣の演技が光るスタンダードな藤井道人監督作となっている。だが本作では、写真として収めたいレベルの美しい画の数々、コミカルな演出を導入したことで生まれた躍動感、確かな演技で登場人物に息を吹きかけたシュー・グァンハンと清原果耶さんの好演といった要素たちが作品を彩って感動を与えてくれる。

物語は藤井監督らしく硬派でシンプル。既定路線。最終的に変な思想を乗せたり、変な着地をしたりする、これまでの藤井監督作と比較すれば丁度良いライン。

やはり、藤井監督の画づくりは美しい。芸術。本作は街並みや自然の風景が多く、雄大な美しさが画面全体に彩られる。何よりも光量の当たり加減と雪の白さが美しさを際立たせる。映画館のスクリーンを目で追うのもいいけど、お家映画では好きなタイミングで一時停止したら写真のように一枚絵と化すだろう。

本作の藤井監督は、従来通りの硬派で美しい画だけで魅せていく映像・演出だけでない。過去パートでは韓国映画のギャグシーンのようにコミカルな演出が多い。登場人物たちに笑顔が生まれ、いつもの硬派な空気が和らいで活き活きとした躍動感がある。それを美しい画の中で成立しているから凄い。前々作『最後まで行く』でコミカルな演出を多用して上手くいったから導入したのだろうか?

主人公を演じたシュー・グァンハンと清原果耶さんが好演。グァンハンは1人で18歳時の主人公と36歳時の主人公をキレイに演じ分けていた。18歳の時は世界をよく知らない若気ある少年になっていたし、36歳の時は現実に打ちのめされて成熟した大人味があった。18歳の過去と36歳の現実を行き来する際、18年分の人生を感じさせる。清原さんは、清原さん演じる人物の設定がほぼ出ない状態でストーリーの大半が進んでしまい、一見するとミステリアスな人物として固められそうなルートを辿る。だが、清原さんの活気ある演技がそれを払拭し、1人の生きる人間として存在感が際立っていた。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計17個
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