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青春18×2 君へと続く道のmanamiのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
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バックパッカーとして日本から台湾にやってきた22歳のアミ(清原果耶)と、台南市で家族と暮らす18歳の高校生ジミー(シュー・グァンハン)が共に過ごした、ひと夏が「青春」そのものとなる日々から、18年間「続く」ことになるラブストーリー。そして「君への道」を遠回りしながら進んでいくロードムービーでもある。
18年前と現代、二つの時間軸が交互に進んでいく。タイトルにある「18×2」は、二人の18年間でもあり、18歳からの18年間でもあり、さらに「18年前であり18年後でもある」ということだと思う。ともすれば当然のように「現代」を基準にしてしまうが、2006年に生きる彼らから見れば2024年の方が「18年後」なのだから。
物語は2024年パートから始まり、人生につまずいてしまったジミーの現状が淡々と映し出される。抜け殻のように実家に帰ると、彼の使っていた部屋がそのまま残されている。…って、お〜、スラムダンクじゃないか!そうそう、台湾とかでも人気あったもんねぇ。ジミーもスラダン好きなのねぇ。というわけで、この時点で彼は私の中で「きっといい人に違いない」認定されました。机の上には日本語学習の形跡もあり。
他にもモー娘。やウォークマンなどが登場して、「2006年」がまさにここにあるかのような空気感をいっきに流し込んでくる。
それからもちろん、二人で観に行くとある日本映画も、重要な役割を果たす。私も大好きなこの作品、登場することすら知らなかったから驚いたし、こんなに素敵に扱ってくれて嬉しい。雪景色のシーン、「私は元気です」って返してあげたいくらいよ。
景色と言えば、展望台からの夜景もきれいだし、台湾と日本それぞれのお祭りも美しいし、「旅行欲」のあまりない私ですら聖地巡礼してみたくなったわ。「ひとやすみは旅を長く続けるため」だったかな。
二人乗りをしたり、服を着たまま海ではしゃいだり、ふざけてポップコーンを口に詰め込んだりと、青春も満載すぎるよ。片耳イヤホンもね、曲を流さなかったことも含めて名シーン。
結論、好き、感動した。鑑賞後もジワジワが止まらなくてウルウルきてしまうから、しばらくショップをウロウロしながら深呼吸してやり過ごしたくらいよ。藤井道人監督、只者ではないな。インライでくだを巻いてるの何回かお見かけしたことあるけど、やはりすごい人なんだな。
さて、良かったからこその、「?」と感じた点も挙げておく。
まずはアミがカラオケで働くの、就労許可は大丈夫なのかなと、ちょっとハラハラはしてしまったこと。
それから公式サイトにもFilmarksにも、さらにはパンフレットにも、日本パートのキャストしか載ってないのはなぜ?台湾パートもそうとう重要だと思うんだけど?「不良少女」呼ばわりされてた子は可愛らしいし、ぷくぷくしたおばちゃんも愛嬌あるし、男性メンバーもみんな良い人で良いキャラなのに。ものすごく残念だわ。
あともう一つ、残念というか、もったいないなと感じるのは、エンドロールがつまらないこと。Mr.Children書き下ろしの主題歌を聴いてほしいから映像を入れないというのがもし理由なら、せめて作中でアミが描いてたたくさんの絵だけでも見せてほしかったわ。
そうそう、あの劇中画は全て、監督の実姉で、画家・絵本作家の吉田瑠美氏が担当されたそう。そしてアミの部屋にある小物は、キルト作家であるお母様の作品だそう。家内制手工業かよ、なんちゅー芸術家ファミリーなんだよ、かっこいいな!!!

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