ハマチン

大人の見る繪本 生れてはみたけれど 4Kデジタル修復版のハマチンのレビュー・感想・評価

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子役たちの表情の豊かさに驚かされる。
主役の兄弟もだけど、脇を固める子役たちにもしっかり個性が作られており、いじめっ子までも愛嬌があるように見える。
子供たちからしたら、大人の言うことは絶対だし、大人からしたら子供はいうことを聞くものと言う考え方が、特に当たり前のように根付いた時代に、その考え方を逆手にとって、前半はコメディ、後半は大人の悲哀がうまくブレンドをされていて、90分という短い作品でありながらも濃密なドラマになっている。
特に後半の大人の悲哀の部分などは、現代の邦画だとジメっとした雰囲気になりがちだけど、そこはさすが小津だけあり、カラッとしていて、最後も爽やかに締めくくられている。
のちに作られる「お早よう」のベースになっているような作品で、「お早よう」も個人的に小津作品の中でも好きだが、こちらの方がより一層白黒の無声作品だが、印象深い作品になっていた。
ハマチン

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