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小早川家の秋 デジタルリマスター版のtomひでのレビュー・感想・評価

3.0
東京国際映画祭2023の小津安二郎特集上映で「小早川家の秋 4Kデジタル修復版」を鑑賞。「小早川家の秋」を観るのは2回目。劇場では初めて観る。

本編が始まる前に10分位のヴィムベンダースの小津安二郎についてのインタビュー映像があった。ヴェンダースが学生時代、フランスでは溝口、黒澤、大島の作品は観る事が出来たのに小津作品は観る事が出来なかった事。それは当時日本の配給会社が日本的過ぎる小津作品は海外ではウケないと自主規制してフィルムを出さなかったらしい。その極めて日本的な小津作品が真の国際映画となり得た事実をヴェンダースは熱く語っていた。

「小早川家の秋 4Kリマスター」が完成したのが2023年10月らしいので本当に出来たてホヤホヤ(笑)映像はとても綺麗になっている。

小津が東宝(宝塚映像)で撮った唯一の作品。いつもの気持ちいい間合いの会話劇が関西弁となり、中村鴈治郎の演技力もあってとても楽しく観る事ができる。背景となる日本家屋が松竹で撮る時よりリアルで重々しいのは気のせいか? カメラは黒澤作品でお馴染みの中井朝一。

とても楽しい作品だが終わり方がイマイチなのが残念かな。映画の展開の仕方によっては無常観、諦観がある鋭いラストシーンにもなるが、前半の笑い溢れる展開から後半急に切りつけられた感がある…。

今日夜からの「東京物語 4Kリマスター版」も観たかったが、チケット完売で観られない(泣)4Kリマスター版観たいなぁ。
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