キャンチョメ

東京暮色 4Kデジタル修復版のキャンチョメのネタバレレビュー・内容・結末

東京暮色 4Kデジタル修復版(1957年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

日常に起こる悲劇の普遍性を感じた。構うことのない、周囲の人々の無関心さ、陽気な音楽、生活音等がそれを物語る。当人たちにとっては人生を左右する事件が起きていても、第三者にとっては隣の揉め事ぐらいのものだろう。他人には他人の日常があり、それは淡々と彼らの周りを循環している。当事者である家族たちも、とりわけ個性的というわけでもない。落ち込んでいく家族と構わず流れる周囲の日常の対比が、より家族の悲劇性を増幅させていたと思う。

人物それぞれが、自分に正直になれる空間を持っているようにも思えた。明子の寝室、孝子の台所等。実際、孝子は父に夫とのことを聞かれると、気まずそうに台所に逃げていた。明子が孝子に母のことを聞いたのも、寝室だったと思う。日本家屋と人物の心情の組み合わせ方が上手、ということかな。

何よりポスターの有馬稲子の表情がものすごく良い。思い悩み、何かを決めかねる表情。
キャンチョメ

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