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秋刀魚の味 デジタル修復版のnowstickのレビュー・感想・評価

3.5
小津安二郎の遺作とのことで、鑑賞。

相変わらず画面の構図は素晴らしかった。
しかし映像においてもストーリーにおいても、全部これまでの他の小津安二郎の映画で見たパターンばかりで、特に新しい物は無かった気がする。
多くの映画監督は自身のスタイルが決まったら、その方向性ばかり極める事が多く、小津安二郎はストーリーにおいても、映像においてもその典型で、極端に言えば毎回同じ事をやっている気がする。
ガチガチな規則は時に美しい調和をもたらすが、そればかりでは、社会はつまらないだろう。
その点、黒澤明は脚本においても、映像においても、晩年まで新しい表現に挑戦し続けていて凄いと思うし、逆にそれが出来た映画監督は、世界中どの時代でも、黒澤明だけかもしれない。

ただ本作は別に悪い映画では無いから、小津作品をあまり見た事がない人が本作を見たら、ある程度は楽しめるのかもしれない。
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