"死んだら終わりなによう…ただの骨だ…"
震災の津波により妻を失った男・真吾は、未だ母の死を受け入れられない一人娘・奈生と二人暮らし…震災前は漁師だったが、今は散骨業を営む…ある日、松山という男が真吾に遺骨を持ち込む…何処か訳ありの様子に訝しながらも散骨を受け合う真吾であったが、江田というジャーナリストから松山が持ち込んだのは、通り魔殺人の犯人の遺骨であることを知る…
"津波で多くの人が飲み込まれたこの海に、人殺しの骨をまくつもりですか?…"
震災での喪失を自分なりのやり方で折り合いを付けようとする父と未だに引きずっている娘…その微妙な関係は、通り魔殺人犯の散骨という倫理的な問題により、浮き彫りになって行くという展開…
普通に酒を飲み、普通にだらしなく、普通に生きて行く…だからこそ深い悲しみが見て取れるのかも知れない…
普通のおっさんが、突きつけられた倫理的な問題を処理していくまでの日常を淡々と描いていくだけの話ですが、段々カッコ良く見えてくるのはピエール瀧の演技の凄さではないでしょうか?
"あんたが言う風化なら…風化してしまえ…"
この言葉は深く心に刺さるのです…