Nyayoi

水平線のNyayoiのレビュー・感想・評価

水平線(2023年製作の映画)
3.8
震災で妻を失った井口真吾(ピエール瀧)は福島の港町で娘の奈生(栗林藍希)と二人暮らし。妻・母の遺体が見つからないまま、それぞれの思いをかかえている。

散骨を依頼にきた訳ありそうな若い男。実は殺人犯であった兄の遺骨であった。ジャーナリストに追いかけられ、一度は遺骨を返そうとした真吾だったが、懸命に働く男の姿をみて引き返す。
そして、父と娘は気持ちをぶつけ合う。

何と言ってもピエール瀧の圧倒的な存在感。黙っていても悩む思い、強い信念が伝わってくる。
死んだら何もないのか、ただの骨だ、そんなふうに本当に思っていたらこんな仕事はしていないのではないか。
誰よりも死者を大事にしているのだ。

必死に働く殺人犯の弟、どんな人生を送ってきたのか、この人が何をした、と本気で思い訴える真吾。当事者にとったら、風化なんかするわけはないのだ。

死生観にも繋がる作品。
父と娘の絆。言葉にしないと伝わらないこともある。
真吾を助ける人々もいる。
これからも一生懸命生きていく、そんな思いが伝わってきた。


散骨業ってこんなふうにしているのか。
そこには死者を尊ぶ神聖な行為があった。
こんな人に行って欲しいと思った。

連休で本日「あまろっく」に続いて2本目。
また父と娘の話になってしまった。
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