こぼちゃん

しあわせのかおりのこぼちゃんのレビュー・感想・評価

しあわせのかおり(2008年製作の映画)
3.8
監督・脚本 三原光尋、石川県金沢市を舞台に、中華料理店の店主とデパート店の出店企画で働く女性のヒューマニティ溢れる物語。

金沢の港町にある小さな中華料理店「小上海飯店」。デパート店食品部門の営業として働く山下貴子(中谷美紀)は、小上海飯店の店主・王慶国(藤竜也)にデパートへの出店交渉を試みるが断られる。だが、貴子は小上海飯店の料理の味に魅かれて一人の客として通い続けるようになる。

貴子が通い続けていたある日、店主の王は脳梗塞で倒れてしまう。王の病状を知った貴子は見舞いに病院を訪れ、言葉を交わすうちに二人の気持ちが向い合った。後日、小上海飯店を訪れた貴子は、王の故郷である中国の紹興の話を聞き、仕事を辞め王に弟子入りするという大きな決断をする。

貴子の父も料理人で料理が好きだった。しかし夫を亡くした時の心の傷とある事件からパニック発作を再発し、愛娘は亡くなった夫側の家族に引き取られる。二人で、店主の故郷、紹興に行くと、店主の母が美味しい料理を沢山作ってくれたこと、母の味が原点だと明かす。

店主は、故郷、紹興の人たちに、温かく迎えられると、この子は自分の娘だと、中国語で告げる。いつもは料理に厳しく、貴子を貶めるような発言をする児童福祉局を怒ったりなど、威厳もあるのに。

伊勢海老の炒め物、赤魚鯛と白髪葱香味油がけ、乞食鶏(岩塩包み上げ)、金華ハムとチンゲン菜の炒め物、トマト入り玉子焼き、チャーハンほか、沢山の料理が出てきます。

今、新宿店はないけど維新號(いしんごう)が私の記憶に残る店の一つ。ふかひれは食感だけどスープが極めて濃厚、秘訣は金華ハムほかの出汁。北京ダックは、他の店と違って分厚く身の部分も入りジューシー。鮑(あわび)や海鼠(なまこ)は柔らかく、ツバメの巣は食感でデザート、マンゴープリンは極み濃厚。カレー風味の排骨(パイコー)麺も美味しい。

途中、師匠の命令、弟子の命令という場面があるので、ぜひ、確認して欲しいです。それは、お互いが料理で一歩成長できる為の言葉。家族、親子の愛。

『コンプリシティ優しい共犯』では、中国からの不法入国者に蕎麦屋の店主(藤竜也)が蕎麦の作り方を教えたりするけど、話がうますぎて、不法入国ブローカーが儲かるような嫌なストーリーだった。こちらは、同じ藤竜也で今回は中国人だけど、とても、ハートウォーミングで素敵な話でした。美味しい中華が食べたくなった。
こぼちゃん

こぼちゃん