Asino

ショコラのAsinoのレビュー・感想・評価

ショコラ(1988年製作の映画)
4.3
「ホワイト・マテリアル」に続いて見た。
順番的には22年を隔てて逆ですけど、テーマとしては近いものを全く違うアプローチで撮られた作品で、まとめてみられたのはいい機会でした。

フランスの植民地支配の時代の終わりが近い50年代後半、実際にアフリカ各地で育ったドゥニ監督の少女時代がベースになっているとのこと。
使用人の黒人男性の、少女の友情に近いような関係と、主人の妻である(そして少女の母である)女性との微妙な距離感を描くことで、黒人と白人、支配者と非支配者の間にあるけして越えられない溝を見事に描き出していて、これが長編デビュー...となるなど。

印象深かったのは飛行機(プロペラ機)が突然現れて家のなかから駆け出して見上げるショットと、修理を終えた飛行機が再び飛び立っていく様子をみんなで見送るショット。
そしてアフリカの深く濃い夜の闇の描写。人々は闇のなかにふっと姿を消すし、父と娘は「夜の音」に耳を澄ます。

映画としては大人になったフランスが旅行者としてアフリカを旅して当時を思い出すという「外枠」があったわけですが、最後に彼女の手のひらにひどい火傷の跡がしっかり残っている描写が好きでした。
プロテはああしてきっぱり線を引いたわけで、白人の自己満足的な「美しい思い出」的な内容になってないところがすごくよかった。
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