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『ショコラ』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.8
 パンに丁寧にバターを塗りたくった横で、やおら土の上から生きているアリをバターの上に塗した料理を黒人のお手伝いが少女に食べさした時点で「やっべ~ぞ」となったのだが、それを食べるシーンがなくても十分伝わる心底ぞっとした場面でありながら、少女に蟻をひとしきり食べさせるクレール・ドニの演出がまったく正気の沙汰とは思えない。「痛み」の作家であるクレール・ドニは処女作から「痛み」の作家だったことの証左足り得る。やがて大人になったフランス(ミレーユ・ペリエ)は昔懐かしいアフリカ・カメルーンの地を訪ねる。行政官だった父親と自身との物語はほぼフィクションなしの実話だが、占領国時代の末期の人種的な立場がそれぞれの運命を狂わせて行く。50年代末期、カメルーンのフランス統治の小さな行政区に、マルク・ダランス(フランソワ・クリュゼ)は妻エメ(ジュリア・ボスキ)と娘フランス(セシル・デュカス)を伴って赴任した。彼らは黒人達の住むこの田舎町の唯一の白人家族で、マルクが監督区を巡回するためにしばしば家を留守にすることにより、残されたエメとフランスはそれぞれの時間を周りの黒人達の中で過ごしてゆくことになる。そのうちフランスは、使用人の黒人青年プロテ(イザアック・ド・バンコレ)と奇妙な友情で結ばれるようになり、一方エメは家事にいそしむことで夫を待つ辛さを紛らわす。

 未開の地を訪れる先進国の人々の視線はある種ギョッとさせられるような驚きに満ちている。当時の覆りようがない占領国時代の占領とは言葉を現代的な世界線で言い換えれば差別にもなり得るはずだ。黒人青年プロテはその中でマルク・ダランスに仕える誠実な下僕として献身的に汗をかく。下僕にとって主人の命令は絶対なのだが、主人の娘となる年端も行かぬフランスとなると別だ。クレール・ドニの生き写しのような、また当時の占領国の象徴として語られる記号=フランスを名前に持つこの幼女に対し、あろうことか冒頭にパンに塗ったバターの上に無数のアリを乗せるのだが、少女はわけもわからずにそれを頬張る。こうして占領国の「抑圧」は歴史的に我慢しているプロテの見えない「憎悪」を生み出して行く。その様子が決定的になるのはヘリコプターの墜落の場面に他ならない。黒人の中に混じって労働をする白人青年は触媒の意図をもたらし、かえって皮肉にもエメとプロテの関係を近付けて行く。然しながら当時の一般的な裁量で言えば、白人の男の役人がハーレムのように黒人女性を複数侍らせることはあっても、逆に女性から男性へのアプローチは極めて危険で、黒人男性側はバレたら投獄、及び処刑も辞さないような壮絶な関係だったのは察するに余りある。ある種の奴隷貿易的な恋愛関係は人々の価値が等価ではない。然しながら皮肉にも盛り上がる鬱々とした男女関係は白人青年の憎悪を掻き立て、全てはおじゃんになる。クライマックスの火傷の場面のゾッとする様な所業にクレール・ドニの本気さを観た。あのクライマックスの絶望的な断絶場面のおぞましいカタルシスにずっと胸を締め付けられるクレール・ドニの記念碑的処女作である。
菩薩

菩薩の感想・評価

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個人と個人の関係性に於いては表面化していなかった筈の感情が突如発生した集団を経由する事で顕在化されていく。属性を付与される事により発生する悪意とその伝播が親密であった筈の人間関係すらも破壊していく、それこそがやはり差別の正体と凶悪性。個人対個人の争いでは絶対に勝てない(事実差別主義者の白人は黒人使役者に完膚なきまでに敗北する)からこそ、集団を形成し多数派を組織していく。さりとて人は人であるからしてその痛みは同じ、過去も未来も消し去る掌の火傷の跡。にしたってアリパンの衝撃が、山岡士郎なら蟻酸がどうたら言ってるくだりだ。音楽がアブドゥーラ・イブラヒムだった?
sonozy

sonozyの感想・評価

4.0
1988年 仏/西独/カメルーン 女性監督クレール・ドゥニのデビュー作
カンヌ国際映画祭 コンペティション部門ノミネート
National Board of Review: Top Foreign Films

アフリカ・カメルーンを一人旅する女性France(ミレーユ・ペリエ)。
偶然出会った黒人父子の車の中で、幼い頃のカメルーンでの日々を回想する。
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1950年代末、独立直前のカメルーン。行政官Marc(フランソワ・クリュゼ)は妻Aimée(ジュリア・ボッシ)と幼い娘Franceを伴い赴任。
黒人原住民たちを使用人として抱え、Marcは監督区の巡回でしばしば家を留守にし、使用人Protée(イザアック・ド・バンコレ)に妻と娘の面倒を頼んでいる。
FranceはProtéeが大好きで仲良し。Aiméeはストレスから苛立つことも多く、Protéeや料理人に度々怒鳴っているが、Protéeに対する心のざわめきが垣間見える。

ある日、小型飛行機が緊急着陸し、Marc一家はその乗務員達を一時泊まらせることになる。
部屋を使おうとせず使用人達と過ごす不思議なムードの若者、あからさまな人種差別発言が多いオッサン、妻が体調を崩す新婚夫婦など..いろいろと騒がしい日々が続く。
ある夜、Protéeに惹かれているAiméeは...(二人のエロスが漂う微妙な感じがいいです。)
幼いFranceはこの様々な状況を静かに見つめている存在。
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そして、ラストは再び導入の場面(現在)のFranceの旅に戻ります。

クレール・ドゥニは、幼少期を植民地行政官の父の赴任地であるアフリカの国々を転々としていた経験を持つそうで、人種問題/異文化問題をテーマに含んだ作品が多いようですが、強いメッセージ性があるわけではなく、その負の感情も絶妙な空気感として感じ取れるという印象。

Aimée役のジュリア・ボッシは、この作品以外目立ったものはなさそうですが、ヒステリックとエロティックのはざま的な魅惑に溢れてました。
Protée役のイザアック・ド・バンコレは、先日見た『パリ、18区、夜。』のパリ編でドライバー役でしたが、あの顔つきがいいですね。
Marc役のフランソワ・クリュゼは『最強のふたり』でも思いましたが、ダスティン・ホフマンに似てますね〜

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