Breminger

罪と悪のBremingerのネタバレレビュー・内容・結末

罪と悪(2024年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

今週の新作どれ見ようかなーと思って用事を済ませた後の時間と照らし合わせたら今作のみだったので、思いつきで劇場に飛び込みました。韓国っぽいノワールかなとあらすじやポスターからは想像していました。

結構好みの作品でした。演技やら演出やらに難はありますが、全体的にどっしりと重い雰囲気が最後まで続き、子供の時の罪の意識が大人になってとも持続している陰湿さが良かったです。

中学生時代に起こしてしまった殺人、勘違いもあったし実際に怪しいおじさんがレ○プをしていた事実もあったし、いくつも要因が重なってしまった起きた殺人を大人になっても抱えていた同級生3人が再会して、あの時の事件を同じ町で思い出す…といったわりかし現代でもありえるテーマをうまく絡めたエピローグがとても濃かったです。
中学生の頃の帰り道ってあんな感じにじゃれあってたよなぁとかしみじみ思ってしまいました。

ミステリー要素は後出しなので、あぁそうなるのねという感じであっさりしていたので、田舎ならではの閉塞感だったり、声に出さない無意識の罪だったり、そっちにもっとフォーカス当たっていればなと思いました。

全編に渡って会話が不自然で、なんだか演技してるって感じの会話なので棒読みチックでむず痒くなってしまいました。下手ではないと思うんですが、なんだか個性をかき消されてしまっていたなと思って残念でした。
主演3人に椎名さん、佐藤浩市さんは抜群の存在感で今作の内容の深さをより掘り下げていってくれていたなと思いました。
中学生のメンバーは辿々しいところもありましたが、あれぞリアルって感じがしたので欠点にはなっていなかったと思います。

終盤の展開は読めてはいましたが、驚かされるところもありましたし、かつて罪を分けた3人だからこそできる会話と会話のぶつかり合いは好みでした。実際は朔が犯人で、なんとかして黙っていたけれど、結局はバレてしまう…。細い絆すらも絶たれた瞬間は中々心に来るものがありました。
ただどこからともなく買われた恨みで轢き殺される朔はなんだか可哀想だなと思いました。あの時の警備員の対応も冷静すぎてなんだか血の気が通ってないように思えました。

オリジナル作品でここまで完成度の高いものを観れたのは中々の収穫だったと思います。上辺だけ掬った感じはありましたが、それでもこういう作品は多く作っていってほしいなと思いました。監督の次回作に期待しています。
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