Jun潤

罪と悪のJun潤のレビュー・感想・評価

罪と悪(2024年製作の映画)
3.8
2024.02.14

高良健吾主演作品。

とある自然に囲まれた田舎。
同じ中学校のサッカー部に所属し、いつも一緒にいる春、彰、朔、正樹。
それぞれ異なる家の事情に悩みながら、自然の中で過ごしていた、正樹が来なかった試合の日までは。
正樹の死体が川沿いで発見された。
春たちは学校を飛び出し、彼らの中で怪しいと疑っていた男の家に乗り込むと、正樹のスパイクが落ちていた。
その直後、3人は男に襲われかけるが、朔がスコップで男を殴り、彰が取り押さえ、春が殴りかかる。
朔がもう一度スコップで男を殴ると、男は動かなくなり、春が全ての罪を被る形で、男の家に火をはなつ。
それから20年、彰は父と同じ警察になっていた。
とあるキャバクラで少年たちが騒ぎを起こし、彰も現場に駆り出される。
そこで彰は、刑事が小林大和という少年を現場から逃しているのを目撃する。
騒ぎを起こした少年たちの素性を探る中で浮上したのは、素行が悪く行き場のない少年たちを保護し、裏社会を通じて得た依頼をこなさせている春の存在だった。
大和の行方を追いながら、再会する春、彰、朔。
そして新たな事件が起きた、20年前と同じ川で、大和の死体が発見される。
大和を殺したのは、正樹を殺した人間と同じなのか、過去と現在の事件が交錯し、罪と悪が明らかとなってゆくー。

高良・アウトロー・健吾たまんねぇ〜!
それ以外に関しては、うん、なんか、役者陣に実力があるのにそれらを引き出す監督の手腕が足りなかった印象というか、複雑に絡み合う人間関係や事件の背景などに、最後まで乗り切れるほどの勢いが出せていなかったかなという印象です。

序盤の過去パートに関しては中学生男子たちが醸し出すジュブナイルな雰囲気の上を、子ども達に見える場所で頼りにならなかったり、子ども達には見えない場所で暗躍している大人達の影が覆っていました。
巻き込まれる子ども達の身になるとやめてくれよって感じですが、大人も大人で考えていたり、職業倫理や利権のために動いていたりというのが現代パートの違うキャラクター達の姿で浮き彫りになっていくというのがまた面白かったですね。

本物のヤクザが出ていたり、警察の方がよっぽどヤクザっぽかったり、春が面倒を見ている子分たちは社会の裏と表どちらにいるのかがわからないくらい人間味に溢れていたりと、観ていて色々と気になってくるキャラクター達ばかりでした。

今作のキモでもある過去と現代の事件の真相という部分に関しても、キャラ同士の対話や対立などで見えにくくしつつも、時折顔を覗かせては確かめたいと感じさせてくる、なかなか小憎らしい作りをしていましたね。

淡い少年時代を描いてからの大人同士の再会。
そこにエモーショナルやカタルシスの発揮などは無く、罪も悪も無い、正義による罰を自分が信じる形で決行して訣別してしまう、苦味のある終わり方だけど鑑賞後感はどこかスッキリとしたものでした。
Jun潤

Jun潤