暁の空

罪と悪の暁の空のネタバレレビュー・内容・結末

罪と悪(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

個人的には好みのタイプの映画だったのでそれなりに楽しめた。丁寧な作り込みで映画としてのルックも高レベルだと思う。

とはいえ手放しで評価できない点があり、その原因はほぼ監督が手がけた「オリジナル脚本」であると言わざるを得ない。
まず、オリジナルと言いつつ強烈に感じる既視感、具体的には「ミスティック・リバー」を想起せざるを得ない点。
さらにやたらと説明セリフが多い点。
そして長編原作があるのではないか、と思わせるほど多テーマの詰め込みすぎの点。しかもそのテーマが全く回収されないモヤモヤ感。具体的には
・ハルのvsヤクザ要素
・アキラのvs警察内部要素
どちらも主人公側の決意表明みたいなものはなされるが、おそらくはやがてひとつになっていくこの行く末については、ほぼ投げっぱなし。
「観る側の解釈に委ねる」というほどの描写、情報もなし。
(むしろこの話の方が面白そう?)
と、とにかく粗が目立つ。

その最大の粗が、現代パートの小林少年の殺人事件。
なんでこれが起こったのが犯人判明しても全く理解できない。
理解できても無理矢理感しか感じない。

最後の犯人判明シーンも意外性の担保からなのか唐突感は否めず、登場人物の説明セリフ頼りで真相ははっきりとしない感じが残る。

ひとえにすべてが「中途半端」なのだ。
思えばこの映画のジャンル自体も中途半端。
ミステリなのか、青春ものなのか、バイオレンスなのか、日本的地縁ものなのか・・・。
初監督としてやりたいことを全部入れて自分らしくしてみました、が逆に結果としてこの映画の没個性化に繋がってしまっている気がする。

いっそ同じストーリーの流れだとしても、土地、地縁から逃れられない4人の人間性と関係性にフォーカスした方が「罪と悪」のいうテーマを明確に浮き彫りにできたのではないかと感じる。
暁の空

暁の空