ネノメタル

唐獅子仮面/LION-GIRLのネノメタルのネタバレレビュー・内容・結末

唐獅子仮面/LION-GIRL(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

No matter where you go, there you are.

❶ファーストインプレッション
本作はタイトルからビジュアルイメージからも明らかなようにセクシーな身なりを着た女性が主人公のヒーローものである。
とはいえ『Wonder Woman』や『Black Widow』のようなマーベル、DCなどのアメコミ原作のヒーローというよりはもっとドメスティックな特撮要素(*主人公のハイレグ感が『バトルフィーバーJ』の【ミスアメリカ】を彷彿とさせたり)だったりとか任侠もののVシネ要素(*この辺りあまり精通してないもんで例が浮かびませんw)だとか、80sロックポップスのMVのような要素があったり(*ボニー・タイラーの「Holding Out for a Hero」のMVを彷彿とさせたり)だとか、あとエンドロールなどのメインテーマ曲がトーキングヘッズなどの80年代NWぽかったりだとか、あとはB級ホラーの要素だとかエログロだとかの要素がこれでもかとふんだんに盛り込まれている。
たが、これらが単に足し算に終始せず既視感ありそうで実はなさそうな新鮮味溢れるケミストリーとカタルシスが本作にはあるのだ。
 とにもかくにも主人公である新進気鋭のアメリカの若手女優、トリ・グリフィス演じる緋色牡丹が唐獅子仮面(Lion-Girl)の最終形態ともいうべきあのコスチュームに変身した形でようやく登場するクライマックス辺りのシーンが美し過ぎてカッコ良過ぎて勇壮すぎて可憐すぎてもはや溜息が出たほどである。
もう本作は目撃する事がもはや「事件」なのだ。
 あとちなみに本作にはデコ辺りをツノが突き破って生えてきたりだとかグサっと身体ごと腕で突き刺したりなどの超絶グロいシーンがあったり、主役を含め敵役だとかその他数多くのヌーディティシーンが数多く盛り込まれててそれらが結果的にR15+になってるんだろうけど、個人的にそれらのシーンには所謂あざとさがないどころかむしろ必然性が感じられるためそんなにバイオレンシャルだったりセクシャルだったりの印象はないのだ。ほんとに男女問わず肉体美って感じの鍛え上げられた役者たちが出てくるので誰が観てもそんなにエロティックな印象は受けないと思う。むしろ最大限のエロティシズムを感じたのは全裸の緋色牡丹よりむしろ唐獅子仮面の最終形態のハイレグのコスチュームだったりして。
 それにしても、だ。私がこんなに女性ヒーローにハマるのは2017年の『ワンダーウーマン』以来。アメコミばりに唐獅子牡丹をフィギュア化したものを部屋に飾っておきたい感は死ぬほどあるんだけど結構実現化は大変そうなので、アクスタとかアクスタキーホルダーとかもうあのキャラのグッズを展開してほしいなとも思ったりする。もう缶バッジ・クリアファイルなども大歓迎である。
ちなみにこのパンフレットやポスタービジュアル写真以外でも展開されてる彼女の写真が使われているグッズはオリジナルtシャツぐらい。で、鑑賞後どうにもこちらが欲しくなって私が鑑賞したシネ・リーブル梅田には売ってなかったからわざわざ売っているであろうシネマート心斎橋までTシャツを買うためだけにわざわざ地下鉄4駅ほど越えて乗っていった次第である。
そもそも普段私は映画の服飾系グッズにそんなに惹かれない方なんだけど今回は例外中の例外だった。映画のtシャツを衝動買いしたって2019年の『VIDEOPHOBIA』とか以来かも。でもあれですら2回目観た後だったし。
それだけキャラクター所有欲に駆られるほど魅力的な作品なのだろうと思う。

❷セカンドインパクト
で、2回目はシネマ神戸での吹き替え版を鑑賞。
任侠だ、親分だ、剣さんだ、マユミだのさながら日本語(名)が出てくるので場面によっては吹替の方が尚更しっくりくるというかつてない映画体験だった。
しかし2度目だと緋色牡丹における任侠を死守せざるを得ないカルマが尚更如実に感じられ正に「泣けるぜ(swell)」な境地になった。
ちなみに「泣けるぜ」のところだけど
「〈人・心などが〉 【感情で】いっぱいになる 」の意味を表す「swell」だと聞き取ったんだけど、全体的なニュアンスとしては「emotional」に近い気もする。
要するに「エモい」=「泣けるぜ」みたいな、とか考えていくうちにまたまた字幕版を観たくなってきたw
 総括すると「テメエのやりたい事をやる」てのは誰しもエンターテイナーは言うんだけどそれに加え【敢えてこそやるんだよ】的なアバンギャルド精神をビシビシ感じる。
そこに惹かれる。
これぞサブカルチャーの極み。
かつて猛威を振るっていた【あの頃のサブカル復権】作品だと位置付けている。

❸サードエモーション
そしてそして...その7日後、更にシネマ神戸にて字幕版をもう一回観てしまったのだ!!
ここまでリピートするとストーリー等のインパクトに加え緋色牡丹が車越しに外を見つめる悲しげな視線だとか鬼死魁星の過去のトラウマから生じる怒りのパワーにはどこかシンクロニシティがあるんだろうなど思いつつしみじみ鑑賞した。あと時間軸がちょい入れ替わるとことかもインパクトのあるシーンがどうとか完全に把握できたのでゆったりと観れた
心底これは最高最強最饗最狂の映画だ。

No matter where you go, there you are.

本物語の象徴的に出てくるこの台詞
「あなたがどこに行こうともあなたはここにいる。」これは調べたら1984年のアメリカ映画『『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』(The Adventures of Buckaroo Banzai Across the 8th Dimension)だとか孔子の言葉だとか諸説あるが、それはさておいても個人的には本編でもいくつか大切な仲間や身内の死が描かれていることから「魂が消え失せようとも心はここにある」と解釈している。
私はこの言葉をこの作品に捧げたい。
2時間もの映画鑑賞は終わり帰宅の途に着いてもまだ唐獅子仮面は私の心の中であのファイティングポーズをしたまま残っているのだ。
また会おう!唐獅子仮面!!

No matter what the showing period of this lion-girl movie has gone, there must be a sequel to brand new lion-girl movie.
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