パルパティーン

ニューヨーク・オールド・アパートメントのパルパティーンのレビュー・感想・評価

4.5
予告編を観て面白そうと思い鑑賞。淡い恋愛映画かなと思っていたけど全然違うかった。移民問題・不法滞在・双子の初恋・セックスワーカーといういろんな問題や事象を叩きつける映画だった。こんなにも考えさせられる映画は久しぶりで、考えると少し気が滅入る。

アメリカで普通に暮らしていくにはそれなりのお金はいるということは映画を観て痛感した。日本でも全然言えることで貯金はやはりしていくべきだと思い自分も心を入れ替えていく。全部が全部ではないがお金を持つことで人は傲慢になり人を変える。プライドは高くなるしある意味ネジが外れる。

双子が透明人間として扱われるのは嫌だと言った時悲しくなった。そこにいるのにいないように扱われるのは相当なストレスである。それを受け入れてしまっているのがもう異常である。

クリスティンはクリスティンで乱れていて、あの写真から寂しさと怒りがやはり感じられる。恋人のためにとお金を集める。お金は手に入るが心は死んでいく。だんだんと顔はやつれて心がなくなっていっているように見えた。それを職業としている人たちは世の中にはたくさんいるけど、心を殺してまでお金は必要なのだろうか。しかし生活していくもしくは事情があるからそういった仕事をしている。不条理な世の中である。

それぞれの居場所を求めて行動している。自分に置き換えた時に考えたのは、自分に居場所はあるのだろうかと。今はあまり苦労せずに生きているからこれが当たり前だと思っているが、もしこの居場所がなくなった時は怖いし居場所を求める旅に出るのかなと感じた。人にはどこでもいいから「ただいま」と言える居場所があるべきであり心地よい場所じゃないといけないと感じた。今生きている環境に感謝しないといけないし未来自分がそれを提供していかないといけない立場になるので、生きていくということは大変でありしんどいものである。少しでも逃げ出したいと思った時に受け入れてくれる「居場所」はあった方がいいと思う。

結構この映画は重いけど双子のおかげで少しほのぼのとできたし落ち着きをもたらしてくれた。子供は見てはいけないけど大人は絶対一度は見てほしい映画である。

2024年11本目