良かったとこ カメラを気にしない人物たち
まず目につくのが、10代の性欲真っ盛りの男子がやりそうな女子へのちょっかいが全編に渡って展開されること。カメラを気にしたら普通はやらないだろうと思われる思春期のやらかしがそのまま記録されているのは面白かった。
また、明るく話していた子がハサミを持ち出して暴れ始めるような長回しなど、狙って撮ることは不可能で偶然が味方するようなシーンがいくつかあった。
ダメだったとこ 人々の人生に向き合わないアプローチ
不衛生な労働環境で10代から働かされているという文脈を除けば、映っている光景は誰もが若い頃に経験したようなことの積み重ねなので、社会的意識が非常に高いホームビデオを見させられているような印象。
登場人物たちが次々と入れ替わり、彼らの物語がどうなったのかは全く分からないので、人間を撮っているのに人間を取り扱っているような感覚を観客に与えてくれない。
これが3部作の第一部らしいので、全部完成したら印象は変わるかも知れないけれど、一人一人の人生に向き合ったつくりにしないのであれば、この繰り返しだらけの長尺は無駄としか思えなかった。
