とむ

ダンジョン飯 Delicious in Dungeonのとむのレビュー・感想・評価

3.6
期間限定で1話のみ60〜90分程度拡大放送。しかも今作は劇場で公開。
推しの子然り、フリーレン然り、最近このフォーマットに業界側が味を占めてる感がありますよね。
最初こそ新鮮だったけど、いよいよ飽きが来そうな予感。

まぁ、その3作品ともほぼほぼ売れるのが確定してるような作品でやってるから外すことはないんだろうけど。


以前から原作の時点で気にしていた作品ではあったのですが、何となく観ずにいた本作。
いざアニメーションとしてみてみるとなるほど、実在しないモンスターやクリーチャーを現実的に落とし込んだ生態として描いているのが面白かった。
特にスライムが不定形の生命に見せかけて、胃袋をひっくり返した様な構造になっていて、スライム特有の粘液も実は消化液であるという解釈はなるほど〜!と素直に楽しんでしまいました。

あと動く鎧の中身ね。
これをそう描くか〜という描き方が非常に斬新で面白かったです。


あとは何しろ「グレンラガン」「キルラキル」そして1クールアニメとしては個人的にオールタイムベスト急に好きな「サイバーパンク:エッジランナーズ」を手掛けたtrigger制作のアニメということもあり、映像自体の魅力やケレン味もたっぷりで本当にご馳走の様なアニメーションでした。

モンスターなのに、調理している過程が本当に旨そう!
この辺りは音響監督の力もかなり強いと思いました。


ただ、これに関しては原作の方で生じる問題?だと思うのですが、この世界における倫理観が著しく低く、冒頭(おそらく1話に当たるパート)ではかなり嫌悪感に近い困惑を味わってしまいました。
ただこの辺りは後述しますが、この倫理観の欠如は制作者側も狙ったものであることは間違い無いと思います。
が、初見時の思ったことを備忘録的に以下に記しておきます。


まず、妹がレッドドラゴンに食われたの主人公の不注意という上の空が原因だよね?
にも関わらず「錯乱魔法でもかけられたか?」という台詞を聞いて「えぇ…?」となってしまったのは事実。

しかもその後集落に戻った主人公パーティの「美味しいもの食べたいね〜!」みたいなムードにも初見であるが故に「いや仲間死にかけてるんだよね!?」と心のなかでつっこんでしまいました。

ただ、前述の通りこれらが制作者側が意図的であることは徐々にわかってくるのですが、
「死」が「回収屋に助けて貰えれば生き返れる」という世界観構造なので、ある程度無茶ができる。

それ故にギャグ漫画的な展開(高いところから尻餅ついて「いた〜い!」で済む、マンドラゴラの悲鳴を聞いてもギャグっぽい混乱状態で住んでるetc…)も許されているし、何より冒頭の展開が済めば普通に楽しく鑑賞できたからですよね。
先ほど「問題?」と書いたのは、この倫理観の低さがストーリー的な面白さも買っているからなんですよね。


ただ、この辺に関してはアニメ用のシナリオに起こすに当たって倫理観構造をもうすこし視聴者に提示しても良かったんじゃないかな〜と思います。
例えばレッドドラゴンに挑む直前に「誰かが死んでも、俺が生き残って必ず回収屋を呼んできて生き返らせてやる。だから安心して戦ってくれ!」的な台詞があるだけで
「あ、この世界では死=絶望ではないんだな」とすんなり入ってくるはずなので、その辺は練り込み不足かもなーと思いました。


とはいえ、作品全体のクオリティは間違いなく高いですし、キャラも魅力的で続きが気になるのは間違い無いので、テレビ放送が始まるのを楽しみに待機しようと思います。
おれもバジリスク喰いて〜
とむ

とむ