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無名のmasayaのレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
4.1
1940年代上海。国共対立に加え日本の侵略を受け、同じ中国人が3つの勢力に分かれ明け暮れる水面下の諜報戦。信念の為、そして時代を生き延びるため。場面は宴席と監獄と路地裏を刻々と行き来し、敢えて排除された説明、交錯する時系列も観る者を惑わす。映像の豪華さ際立つ歴史劇ノワール。

上海の共同租界や爆撃される広州市街の大規模セットをはじめ、当時の中国の再現度は目を見張るものがあった。その数%でも日本軍の考証に割いてくれたらとも思うけどあくまで添え物だもんね。主人公の一人を演じたワンイーボーさんの日本語は中々のもので、若い頃日本に留学していた特務という人物像が感じられた。

登場人物は冒頭から幾人も出てきて、中国人か日本人かくらいは分かるけどそれぞれの真の立ち位置は分からないまま、ストーリーを必死に追いかけていくしかない。この不親切なつくりはまさに"無名"。ラストに差し掛かってから明かされる彼ら、彼女らの正体に驚かされ、唸らされ続ける。

この時代の国・共・日スパイアクションは昨年のチャンイーモウ監督「崖上のスパイ」が記憶に新しい。共通するのはとにかく人間関係が複雑に絡み合うし、協力したり裏切ったりの連続なので話を追いかけるのが大変!特に今作は女優さんの顔が似ていてそっちでも惑わされた(どちらもすごい美人)
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