空子

無名の空子のネタバレレビュー・内容・結末

無名(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


"ジョーカーゲーム"的なエンタメかと思いきや、激動の時代に暗躍する"工作員"達の姿を淡々と描いたまさに"ノワール"という印象。

普通語・上海語・日本語・広東語とさまざまな言語が飛び交い、誰も彼もが立場どころかアイデンティティすら(客観的には)不透明なまま駆け引きを繰り広げる様は常に緊迫感があって、ここぞという見せ場が非常に映える。

観終わってみれば比較的シンプルなストーリーなのだが、物事の時系列が入り乱れた構成になっていて展開が予想しづらい上に、切れた時系列が繋がるごとに新しい事実が次々と明らかになるので淡々としていても、引き込まれるものがあって退屈しなかった。

1937年〜1945年あたりの歴史をサラッとでも頭に入れておくと、より理解しやすいかなーと。

役者に関しては、文句無しの実力派が揃う中で、いつかのクリストフ・ヴァルツを連想させるような(というより冒頭のあれはほぼオマージュでは...?)トニー・レオンの圧巻の演技と、静と動のどちらも緻密で繊細な演技力が光るワン・イーボーの熱演が期待通りの見応えで大満足。日本語めちゃくちゃ頑張ったんだな.....

観るたびに新しい発見がありそうな作品。



ちなみに、反日的(?)な演出もあるけど、そもそもの時代背景&製作したお国の事情( )である程度は仕方ないと思うし、本当にその気なら、日本兵の青年たちがもっと酷いこと(強◯、◯殺、◯奪、放◯..etc.)をする描写が入るはずなので、正直、そこだけをみて批判されるのはやや勿体ないかなーと思う。
空子

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