ぶみ

無名のぶみのレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
3.0
信じるか、裏切るか。

チェン・アル監督、脚本、トニー・レオン、ワン・イーボー主演による中国製作のドラマ。
第二次世界大戦下での中国においてスパイが繰り広げる攻防戦の姿を描く。
主人公となる諜報員フーをレオン、フーの部下イエをイーボーが演じているほか、ジョウ・シュン、ホアン・レイ、ジャン・シューイン、チャン・ジンイー等が登場。
物語は、日本が真珠湾攻撃を行った1941年の上海を舞台として、中国の共産党に国民党、はたまた日本軍のスパイの諜報戦が中心となるのだが、時系列が前後すると同時に人間関係が複雑かつ皆黒ずくめのスーツ姿であったことから、展開が全て理解できたかと言われると、ごめんなさいというのが正直なところ。
それでも、各スパイが繰り広げる諜報戦や心理戦は見応え十分であり、中国を中心に活動する日本人俳優の森博之が日本の将校を貫禄たっぷりに演じていたのは良かったところ。
そして、話がよくわからないまま終盤に突入したものの、そこで待っていたのは、それまでの淡々とした空気を打ち破るように繰り広げられるキレキレのアクションと怒濤の伏線回収であったたため、終わり良ければ全て良しと感じた次第。
名もなきスパイを描いたことからつけられた原題及び邦題も納得であるとともに、直訳で隠れた刃となる英題の『Hidden Blade』もセンス抜群だなと思ったのだが、比較的マイナーで、テーマも渋いこの手の作品は、公開日とはいえ、レイトショーならそんなに混まないだろうと高を括っていたところ、何故か結構な人の入り具合かつ殆どが幅広い年齢層の女性であったため、場違い感が半端なく、レオンなのかイーボーなのか、はたまた他のキャストなのかわからないが、ファンの動員力が最大の驚きだった一作。

日本人は皆同じ、戦争犯罪者だ。
ぶみ

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