Monsieurおむすび

無名のMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
3.9
#無名
戦いから降りることも、帰る場所もない生粋のスパイたちのネクタイに迷う人間味、紫煙と共に吐き出す本音。ややもすると淡白な歴史アクションになりそうだが、そういった演出、美術、ライティング、カメラワーク、編集の親和と精密さがそうさせない。

第二次大戦下、上海で熾烈を極める2つに分かれた共産党、国民党、日本軍の諜報戦の闇の中で、情と非情に揺れる名もなき男たち女たち。

説明を排した緊張感と大胆な時系列シャッフルが生むモザイク画に、前半は付いていくのも、現状把握も大変だったけど、後半からはあれよあれよとパズルのピースが嵌っていく気持ち良さと美しさ。

トニー・レオンとワン・イーボーのスタントなしのアクションも苛烈で、そこだけでも一級品。

はじめましてのワン・イーボー、冷静そうに見えて暴れ出すと止まらない狂気が、トニーをも喰ってた。
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