ポンコツ娘萌え萌え同盟

NEXT LEVELのポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

NEXT LEVEL(2023年製作の映画)
3.6
不思議な均衡で保たれたシェアハウス、という小世界。
最後まで見ると人間関係的にいつ均衡が崩壊してもおかしくないのだけど、あかり、沙知、俊宏の共同生活は奇妙なバランスで成立してる。
全体的にシェアハウス屋内での内容を基軸にしており、屋外が出るのはある一部の場面くらい。ただ別に屋内が世界そのものでなく、当然登場人物は外出するし、外からの来訪者の人間もいる。だけどこの登場人物の人間関係、共同生活の世界は外で成立し得ない。だから徹底して屋内で世界を描く必要がある。
屋内に閉じ込めた人間関係、共同生活という形で蓋をしたそれぞれの胸の内。サスペンスではあるがコメディ的な部分もそれなりにある

ただ幸子という新たな共同生活者のおばさんが存在しなければ崩壊してたのではないだろうか。三人がそれぞれに関係ある、香澄、大野、哲也だけならたぶん崩壊した。
沙知、俊宏は度々あるセピアと古いフィルム感をつけた演出で、あかりはシナリオ見れば過去や経緯が分かるけど、対して幸子は謎の占い師兼あかりに連れられてきたということで明確な過去はほぼ語られない。
ただ相談役的な側面もあり、世界の渦中で言えば第二者。サブキャラクターではあるが、ある意味最重要的な立ち位置の一つではないだろうか。

映像としてはスローを用いた演出とか。屋内が舞台なのもありどう見せるか制約がかかるが、前半のカメラワークは魅力的。例えば登場人物の背後から追うカメラや屋内の周囲ををぐるりと映した空間的なカメラ等。
個人的には台所を物色する大野から、家の玄関に戻ってきたあかりへとカメラが動いて場面がお気に入り。濡れ場はやはり音楽の存在だろうか。視覚的なエロスよりも不思議と濡れ場にかかる音楽が印象に残る。何気に音楽と喘ぎが混じってるなんてものもあるし、イかしてる。