幽斎

インジニアム 時をかける異能力の幽斎のレビュー・感想・評価

3.0
C級スリラーをレビューする、Scavenger第57界。原題「Ingenium」英語じゃないねと調べたらラテン語、生来の気質を意味する。AmazonPrimeで299円鑑賞。

また無人なのか(笑)、誰かレビューを書いてくれ。

「ドイツ映画」皆さんはヒトラーとかホロコースト以外で何が思い浮かびますか?。世界三大映画祭主催国にも関わらず、パッと出る人はシネフィル以外では難しいかも。傑作は多く統一前の西ドイツ「ベルリン・天使の詩」「バグダッド・カフェ」統一後では「街のあかり」等、「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」の様な奇跡も有るが、大抵の作品は、鑑賞後に堅苦しくて肩がコル、思わずアンメルツを塗りたくなる(笑)。

童貞の生徒会長の様なドイツが小難しい「SF映画」を創ればドウ成るか?。ソりゃあ世界遺産級の名作「メトロポリス」も有りますが、アレも資本主義と共産主義の構図を描いたと私は解釈しますが、キラキラの未来都市をディストピアで描いたマイルストーンだが、SFがエンタメでは無く辛気臭く為ったのも事実。フラストレーションが男性のナニの様に溜まったモノが爆発したのがレビュー済「アイアン・スカイ」!。

2018年にドイツで公開された劇場映画だが、アマゾンは何が凄いって2023「年」とは一言も書かない(笑)。鑑賞中に得も言われぬ違和感を感じ、ドイツの公式サイトを見ればナルホド。本作は元々はテレビの単発映画としてタイトル「Feli's Flucht」フェリの逃亡、で制作。が、出来が良いと評判に為り急遽、長編映画として創り変えられた。アメリカでは珍しいが、オランダとかポーランドの作品では割とある話なので、ソノ点は気に留めないが、問題は甘辛煮が美味しい乾瓢(かんぴょう)の様に薄っーく伸ばした本作の出来。

元々は60分の作品だったようで、ソレを88分に引き延ばした結果、脚本は2度に渡って書き変えられ、元のストーリーも完全に差し替えられた。Filmarksのあらすじに有る通り、タイが舞台だが予算の都合で追加撮影が出来ず、ポストプロダクションで追加されたストーリーを繋ぎ合わせた結果、最初の撮影が2012年で脚本を変えてる間に3年の月日が流れ、主演Esther Maaßは4年前の自分と「共演」するハメに(笑)。

ソレだけ60分版が良かったと言う事だが、お通夜の様に暗く(照明が、という話では無く)、全体的に地味感は免れない、ドウしてドイツ映画って車のメルセデスの様にクソ真面目なモノしか造れないのか、国民性以外の答えが有るなら教えて欲しい位に雰囲気も重い。Filmarksのあらすじがネタバレ水域なので折角のスリラー設定も台無しだが、肝心要のプロットは良く出来てるし面白い。ドイツ映画にしては視覚効果にもキレが有り、コレが高評価の理由で有る事は明白だが、パッチワークの様な継ぎ接ぎだらけの演出は理論整然が取り柄のドイツ映画らしくない。色々と惜しい硬派なSFスリラー。

ドイツ語の発音に抵抗が無ければ見る価値は有るかもしれないので、暇潰しに為るかも。
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