ももか

タカラヅカ・レビュー・シネマ 星組公演「1789 バスティーユの恋人たち」リミテッド上映のももかのレビュー・感想・評価

4.5
フランス革命を題材にした作品となると身構えてしまうかもしれないが、重税に苦しむ第三身分の反乱と既得権益を守ろうとする貴族の対立の物語として描かれる本作は、今の私たちの物語としても見れると思う。決して、昔あった混乱と革命の物語として終わらない現代性があって、今上演する意味がある。

その中でも、マリーアントワネットをただの悪者にせず、彼女も時代の犠牲者であること、一方で革命に死んだ第三身分の人々の不条理を同時に描くことで、身分によって対立しあった彼らは同じ悲劇に死んだことが分かる。

これだけ大変なことが起こっても、フランスは未だに存在するように、日本も簡単に終わることは出来ない。分断と悲劇、それでも人々の愛によって残るものを描いた作品の訴えるものは大きい。

宝塚は夢の世界を描くイメージが強いかもしれないが、実は市井の物語を演じるのが上手い劇団だということがよくわかる作品だと思うので、宝塚に興味が無い人にこそ見て欲しい。
ももか

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