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オキュパイド・シティ(原題)のganaiのレビュー・感想・評価

4.5
TBSドキュメンタリー映画祭2024でのスティーヴ・マックイーン監督と原作者のビアンカ・スティグターさんによるリモートトークに参加しました。

アカデミー受賞監督に直接質問する機会なんてこの先もう二度と無いかも。

1940〜45年にかけてナチ占領下にあったオランダ アムステルダムの出来事を綴った原作を元にしたナレーションにコロナ禍にある同じ場所の映像を重ねるという大胆なドキュメンタリー作品で上映時間は実に4時間超え。そして制作スタジオはあのA24。

観始めてすぐに過去の映像を一切使わない方針だという事、占領下でユダヤ人が受けた虐待についての語りが中心だと分かり、監督がシオニズム寄りの姿勢だったらどう質問しようか悩んだけど杞憂でした。

占領下のアムステルダムと同じ場所を捉えた現在の映像はその内容が絶妙にリンクしており、ホロコーストやレイシズムがユダヤ人だけではなく現代の誰にでも起こり得る普遍的な問題なのだというメッセージになっていました。

Q&Aでの私の質問
ホロコーストの惨劇だけでなくナチから彼らを匿い抵抗運動に身を投じた人々についても語っていましたが、そこに現代の気候正義を訴えるプロテスター達を重ねていました。これは社会運動など行動する事の重要さを訴えているのでしょうか?

マックイーン監督「そうです。困難な状況でも沈黙せず声を上げる事の重要さは意図して表現しました。」

他の質問に対して
マックイーン監督「この映画は歴史の授業では無くメディテーションなのです。」

原作者スティグター氏「4時間の長尺は映画が求めたものです。それだけの厚みが必要でした。」
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