のほほんさん

華麗なる大泥棒ののほほんさんのレビュー・感想・評価

華麗なる大泥棒(1971年製作の映画)
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ルパンⅢ世の元ネタと言われる作品。
同じく4人組であるルパン一味のネタとも言えそうだけど、むしろルパンととっつぁんの関係性のネタという感じ。
まあとっつぁんは本作のような腐れ外道ではないが(笑)
それに、不二子ちゃんはともかく、次元と五ヱ門にあたる2人の待遇が割と酷いしね



エメラルドの横取りを企むとっつぁん=オマー・シャリフは酷い人なのにやっぱりダンディでカッコイイ。
あの無駄に馬に乗るシーンはなんだったのか(笑)
酒を飲んだから手元が怪しいなあ、みたいなこと言いつつ凄まじい射撃の腕を見せつけるケレンみ溢れるシーンも良かったぞ。
強烈なのに何故か不思議な上品さを感じてしまうのは、やはりロレンスやジバゴのイメージ故か。


その服装ももろに銭形なんだけど、それ以上に彼の後ろに大量投下される物言わぬ警察官はルパンにもろに流用されてる感じがする。
フランス映画なのにパトカーに「埼玉県警」の文字が見えた気がした(笑)


コミカルさという意味では「大頭脳」の方がルパンっぽかったかな。原作ではルパンは割とハードボイルドだったらしいから、よりそっちなのかな。
しかし、無茶苦茶なアクションシーンは後世のアクションを見慣れた目にも凄まじいものがあった。
特にカーチェイスシーンは、ライブ感とでも言うのだろうか、演出された映像ではなくて本当に運転の達人にゲリラで街中を走らせたのではないかと思うくらいの生の迫力があった。舞踏の観客が舞台そっちのけでカーチェイスを追う、みたいなシーンがなければ本当にゲリラ撮影だと思っただろう。


砂場落ちのシーンなんかも、江戸木純さんがおっしゃっていたけど、正に後にジャッキーが影響を受けたであろう、危険そのものなスタントシーン。良い子はマネしちゃいけない、どころかマネなぞ出来ないアクションだ。


冒頭のたっぷり時間をかける金庫破りシーン。金庫の型を読み取ってその場で合鍵を作るという、アナログだがとんでもない技術を発揮する。しかしそれ以上は掘り下げない贅沢使い。なんだったのだアレは。


ルパンにせよジャッキーにせよ、後世に与えた影響が大きかったことがよく分かる作品だった。
エンニオ・モリコーネの音楽や、今見ても古びていないオープニングのスタイリッシュさなど見どころが多かった。


読み返してみて、一言もベルモンドと書いていないのだが(笑)、本作全体がベルモンドの魅力がベースにある。
レストランでオマー・シャリフと対峙するシーンなど、カッコ良さと共にどこかコミカルな魅力が、存分に味わえた