テレビドラマは観ている。力のこもった直球の作品で、知っていても大杉栄と伊藤野枝を襲う時代と権力の理不尽に差し込まれた。
大河ドラマより改めて吉高由里子の魅力を認識しこちらを鑑賞。
正月に能登周辺を見舞った大地震の影響か、また違った鋭さを感じた。
個人的には、女性の自由自立を目指して矢のようにぶれず迸る熱量の野枝よりも、自己分析もおざなりに間違いだらけで成熟していく栄の方が上手く描かれている気がする。
犬や奴隷も考えている苦しんでいるとも思う。
二人の軌跡は鮮烈だがその後の昭和という時代を睨んでほしかった。
関東大震災直後から振りまかれたデマゴーグ。世論を操りたい為だけに創られる事件事象が産む犠牲と中傷差別。
今もそれはあらゆるところから顔を出している。創られた匂いがどうにも腑に落ちない。
革命は非常時に便乗して起こすものではない。栄と野枝の信条、真情はドラマの頃よりずっと深く響いている。
