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スーパーマン リターンズのmickeyのレビュー・感想・評価

スーパーマン リターンズ(2006年製作の映画)
4.2
スーパーマンといえばクリストファー・リーヴの自分にとって、リチャード・ドナー版をリスペクトした本作は好きにならないはずがないのです。
特に、序盤の旅客機救助シーンは昨今のスーパーヒーロー映画と比べても出色の名シーンだと思います。

本作は批評家の反応も良く続編が進行していましたが、興行成績が配給会社の期待を上回らなかったこと、ワーナー社長の「作品は大成功だったが興収の為にアクションを増やすべきだった」発言にブライアン・シンガーが怒ったこと、シンガーが続編より他の企画を優先したこと等から最終的にワーナーがリブートを決定し、続編はなくなりました。シンガーは『ボヘミアン・ラプソディー』だけでなく本作も無断で撮影を中断していたらしく、配給会社との関係は良くなかったようです。

映画ファンからすれば「何やってんの!」ですよ。
興行収入に関してはアクション不足が原因というより別の要因だと個人的に思っているので、以下気になった点について書きます。

・ドナー版の続編という位置付けは難しかった
本作はリチャード・ドナー版『スーパーマン』と『スーパーマンⅡ冒険編』の続編でしたが、過去作を鑑賞済みのファンと比べて一般の観客には敷居が高かったかもしれません。個人的には、丁寧に作っていたと思いますが。リブートにするかOPに一般の観客が理解できるようなダイジェストがあれば良かったかも。

・クラークとロイスの関係
ロイス・レインを演じたケイト・ボスワースは美しかったんですが、5年間スーパーマン不在だったせいか終始不機嫌な表情(ゴールデンラズベリー賞ノミネート)。というか、クラーク・ケントもレックス・ルーサーもドナー版に似せた配役と性格だったのに、ロイス・レインだけはマーゴット・キダーのキャラクターとは全く似ていませんでしたね。これは多分、彼女よりもブライアン・シンガー監督の演出の問題だと思います。もしくは、ブランドン・ラウスをぐいぐい引っ張っていくような女優さんが相手だったら二人の場面がもっと魅力的になった気がします。

・息子問題
本作にはロイス・レインの子供が登場します。あれ、視聴者のほとんどはすぐにクラークの息子だと思ったんじゃないですか?でも、劇中キャラ達は終盤になっても全く気付かない。そこにヤキモキしました。
マーロン・ブランドの台詞にもあるように、本作は聖書の引用が多いし「父と子と聖霊」をテーマにしたかったようです。が、個人的には息子のエピソードはなくても良かった気がします。息子のエピソードをカットして、ひたすら人命救助のスーパーマンにして上映時間を短くした方が観やすくなったと思います。

あと、これは完全に自分の好みですが、終盤でレックス・ルーサーの部下が下敷きになって死ぬのは何とかならなかったかなと。スーパーマンは悪党であっても助けるのが魅力なので。そしてスーパーマンを憎んでいた悪党が改心するまでがセット!

ということで、不遇な作品となってしまったブランドン・ラウスのスーパーマンですが、アローバースで再登場できたのは本当に良かったなと思います。
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