ロアー

陰陽師0のロアーのレビュー・感想・評価

陰陽師0(2024年製作の映画)
3.4
前情報を一切知らない状態で予告を観て「へ〜、陰陽師の漫画か何かが映画化されるんだ〜...ん?あれ?これって夢枕獏の陰陽師じゃないか!?夢枕獏の陰陽師だった!!え、これが!!!?」と大いに驚いた経緯があるので、まあ何となく予想も覚悟もしていたものの、いわゆる"コレジャナイ"映画ではなく、"ソウジャナカッタ"映画だった衝撃。

陰陽寮の謎のホグワーツ感はわりと好きな感じだったので、なるほど陰陽師版ハリポタみたいな話が展開されるのね?と思ったらソウジャナカッタ。

人が死んで一気にミステリー調になったので、なるほど陰陽の術で事件を解決する路線なのね?と思ったら科学捜査みたいな推理が始まってソウジャナカッタ。

原作通りヒキガエルのエピソードで晴明が"呪"について説明したはずなんだけど、結局、"呪"って何だったっけ?な陰陽師呪術バトルが始まってしまってソウジャナカッタ。

恋愛パートも本当にそれで良いの?とスッキリしないがアッサリな終わりを見せるし、清明の親の仇の件をもっと引っ張って続編に続けるのかと思えばこちらもアッサリ犯人が判明するし、何から何までそうじゃなくて、ずっとあれ?あれ?あれ?と思っているうちに終わった映画だった。

これをあれこれとっ散らかった映画だったと観るか、あれこれ盛りだくさんで楽しい映画だったと観るかでだいぶ評価が変わりそう。
でも、あくまで小説の映画化ではなく、実在しない陰陽師バトル少年漫画の実写化映画として観た方が良いと思った。

そういうものとして観れば普通に面白いし、男子のカラフルな狩衣やなんちゃってジャパンの香りがする徽子女王の着物、床に謎に散りばめられたお花などなど、蜷川実花成分30%配合みたいな微妙に物足りなさを感じつつも映える映像は綺麗だったし、狩衣姿でのアクションも目新しかった。
ただ、狩衣アクションはシュバシュバッと布が擦れるSEの派手さで見せてる感じで、色々もったいなかった気がする。って、やばい...書けば書くほど、またどんどん"ソウジャナカッタ"が増えてきちゃった。そろそろ黙ろう。

とにかく、私にとってはひたすら"ソウジャナカッタ"映画ではあったものの、大変素晴らしかった犯人の舞は絶賛したい。所作の美しさはやっぱり心に響く。
ロアー

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