yksijoki

パーマネント・バケーションのyksijokiのレビュー・感想・評価

3.5
ドップラー効果。不協和音みたいな音楽がずっと鳴っていたのが印象的で、ラストの虹の彼方にと最後船から見た遠ざかっていくNYの街で終わっていくのもエンドロールの出し方のおしゃれさも良かった。とても卒業制作のクオリティとは思えない完成度でさすがですねという感じ。

全体的にセリフがすごく少なく展開もほとんどないので非常に眠くはなってしまうけれど自由と放浪をメッセージとして伝えようとしている当人の心境とメッセージ性がしっかり伝わってきてよかった。

そこからここへではなくここからここへというセリフがまさにそうで、人生という旅はいくら移動したとしても自分が主人公なことには変わらないし、居る場所が「ここ」であることには変わらないのだという事なのかなと思ってそこはすごく共感を持てた。

「去ると居たときよりもそこが懐かしく思える」このセリフがすごい刺さった。住む場所も人も、環境も、結局そういうものだよねと思ったしそれこそが旅の醍醐味なんだよね思った。

アロイシュスも含めて割とヤバい人しか出てこないのと結構コミュニケーションが逸脱している癖の強さではあるのでちゃんと理解しようと思ってみると意味わからないけど、そこも含めての漂流と思って見れればとても味のある作品に感じられるのではないかなと。

冒頭の長回しでのNYの街並みとサックスの音、足音と街のざわめきとが混在する中で音と映像が少しずつテンポとしてズレていく感じがツボでこういうところマジで上手いよねってなりました。

キャスト ★★★★3.7/5.0
ストーリー ★★★ 3.4/5.0
演出 ★★★ 3.2/5.0
音楽 ★★★★ 3.7/5.0
映像 ★★★★ 3.7/5.0
プロット ★★★ 3.4/5.0
バイブス ★★★ 3.0/5.0
全体 ★★★★ 3.5/5.0
yksijoki

yksijoki