Automne

パーマネント・バケーションのAutomneのレビュー・感想・評価

3.9
ジム・ジャームッシュ初期の中編。
尖り方がすごいという印象。中国がアメリカを爆撃した世界線でPTSD患者がごろごろその辺に居る、そこに生まれた孤独な青年の放浪。
特に物語として何があるわけでもないのだが、それぞれの登場人物の語らない部分に内面の懊悩が存在しているような気になるマジックがかかっている。
『ナイト・オン・ザ・プラネット』に通じる路上の偶然とクタクタな感じが出ている。彼はそういう一見人間的ではない(理性がないように見える)他者に対してたくさんの観察をしていたのではないだろうか。その分若さゆえの鬱屈や主張激しめ(こんな突飛な人物出しちゃうんだぜ、感)があって、昨今の作品よりは品が無い。それもそれで荒削りって感じはする。
『パターソン』あたりを観てから戻ってきたら監督としての作風の変遷に驚かされると思う。
佳作です。
Automne

Automne