ツクヨミ

その鼓動に耳をあてよのツクヨミのレビュー・感想・評価

その鼓動に耳をあてよ(2023年製作の映画)
4.3
"なんでも診る"を掲げた救急科の現実を捉えた緊迫な一品。
予告編にて病院のリアルさが垣間見えそうだなと思っていた本作を見に行ってみた。
まず本作は名古屋にあるエキサイカイ病院の救急科を数年間追ったドキュメンタリーになっており、ご想像通りの医療ものドキュメンタリーと言って差し支えないだろう。だがしかし病院ものにしてはわりかし広い要素をこさえた語り口が凄く、多様な問題が顕在化した余韻にハラハラした。
それはエキサイカイ病院の理念が強く影響し、"なんでも診る"を掲げたことにより多様な患者が次々やってくる現実がメキシコ救急車ドキュメンタリー"ミッドナイトファミリー"ぐらい緊迫感を与えたのが要因だろう。小さな異常から転落や切断事故からなる外科手術まで扱う多様さ、そしてたとえ生活保護受給者や金を払わず逃げる患者まで診る"社会的"問題に関わらず診るというのがすごいなとシンプルに感じる。だが昨今のコロナ禍情勢でその理念が脅かされ満床から断らざるをえない現実にまた打ちのめされそうになる、実際にこの病院がなくなってしまうと名古屋の医療が傾くぐらいの打撃となることを予見させるほどの激務で緊迫感マシマシであった。
あと救急科として他の専門診療科から下に見られがちという現実まで見せる、やはりなんでも診る反面.ほんとにわからない選択は専門医師に委託せざる得ない現実。委託しなくてはならない申し訳なさと専門的すぎになれないやるせなさ、めちゃくちゃ大変すぎで夜勤ももちろんな救急科が不憫で仕方なくなるが誰かがやらないといけない救急科の人たちに頭が上がらなくなること間違いなしの必見ドキュメンタリーでおったまげた。
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